行政不服申立とは、行政庁に対し、違法または不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、その行為の取消その他の是正を求める制度です。
・. 不服申立制度の存在理由
・ 簡易迅速な救済制度の必要性
すなわち、訴訟は、裁判所において対審制(対立する当事者に主張・反論の機会を与え、双方に主張立証を尽くさせて行う審理の方法)をとり慎重な手続きを踏むので、当事者双方に多大な負担(労力・時間・費用)が要求されます。
これに対し、不服申立制度は、審査にあたる行政庁が職権で審理するので当事者の負担は少なくてすみ、そして迅速な救済をはかれます。
・ 行政作用の不当性の審査
行政訴訟は、法を適用して判断する手続きですから、その審査は、適法か、違法かの判断に限られ、裁量問題には及びません。
これに対し、不服申立手続は行政の自己監督作用でもあることら、適法違法にとどまらず、裁量権行使の当・不当問題も審査の対象となります。
・. 不服申立制度のデメリット
このデメリットとしては、・略式の争訟にすぎず権利救済の実益をあげられない、・行政庁側の自己統制ゆえに、中立性を保障されず、国民の権利救済が十分に図れない、といった点が指摘されています。
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