(抜粋)
行政の処分に対する対抗の手段。基本的に書類だけで審査するので、割とお手軽です。実際に関わる方がいらっしゃるかもしれないので、少々、解説も載せておきます。
行政不服申立とは、行政庁に対し、違法または不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、その行為の取消その他の是正を求める制度です。
1.不服申立制度の存在理由
(1)簡易迅速な救済制度の必要性
すなわち、訴訟は、裁判所において対審制(対立する当事者に主張・反論の機会を与え、双方に主張立証を尽くさせて行う審理の方法)をとり慎重な手続きを踏むので、当事者双方に多大な負担(労力・時間・費用)が要求されます。これに対し、不服申立制度は、審査にあたる行政庁が職権で審理するので当事者の負担は少なくてすみ、そして迅速な救済をはかれます。
(2)行政作用の不当性の審査
行政訴訟は、法を適用して判断する手続きですから、その審査は、適法か、違法かの判断に限られ、裁量問題には及びません。
これに対し、不服申立手続は行政の自己監督作用でもあることら、適法違法にとどまらず、裁量権行使の当・不当問題も審査の対象となります。
2.不服申立制度のデメリット
このデメリットとしては、1.略式の争訟にすぎず権利救済の実益をあげられない、2.行政庁側の自己統制ゆえに、中立性を保障されず、国民の権利救済が十分に図れない、といった点が指摘されています。
実際に体験するもよし、皆さん各々で吟味してください。
この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
2.行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
この法律による不服申立ては、行政庁の処分又は不作為について行なうものにあつては審査請求又は異議申立てとし、審査請求の裁決を経た後さらに行なうものにあつては再審査請求とする。
2.審査請求は、処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)以外の行政庁に対してするものとし、異議申立ては、処分庁又は不作為庁に対してするものとする。
この法律に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。
2.不服申立書は、異議申立ての場合を除き、正副二通を提出しなければならない。
審査請求は、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内(当該処分について異議申立てをしたときは、当該異議申立てについての決定があつたことを知つた日の翌日から起算して三十日以内)に、しなければならない。ただし、天災その他審査請求をしなかつたことについてやむをえない理由があるときは、この限りでない。
2.前項ただし書の場合における審査請求は、その理由がやんだ日の翌日から起算して一週間以内にしなければならない。
3.審査請求は、処分(当該処分について異議申立てをしたときは、当該異議申立てについての決定)があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
4.審査請求書を郵便で提出した場合における審査請求期間の計算については、郵送に要した日数は、算入しない。
審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
一 審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
二 審査請求に係る処分
三 審査請求に係る処分があつたことを知つた年月日
四 審査請求の趣旨及び理由
五 処分庁の教示の有無及びその内容
六 審査請求の年月日
2.審査請求人が、法人その他の社団若しくは財団であるとき、総代を互選したとき、又は代理人によつて審査請求をするときは、審査請求書には、前項各号に掲げる事項のほか、その代表者若しくは管理人、総代又は代理人の氏名及び住所を記載しなければならない。
3.審査請求書には、前二項に規定する事項のほか、第二十条第二号の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求をする場合には、異議申立てをした年月日を、同条第三号の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求をする場合には、その決定を経ないことについての正当な理由を記載しなければならない。
4.審査請求書には、審査請求人(審査請求人が法人その他の社団又は財団であるときは代表者又は管理人、総代を互選したときは総代、代理人によつて審査請求をするときは代理人)が押印しなければならない。
審査庁は、審査請求を受理したときは、審査請求書の副本又は審査請求録取書の写しを処分庁に送付し、相当の期間を定めて、弁明書の提出を求めることができる。
2.弁明書は、正副二通を提出しなければならない。
3.処分庁から弁明書の提出があつたときは、審査庁は、その副本を審査請求人に送付しなければならない。ただし、審査請求の全部を容認すべきときは、この限りでない。
審査請求人は、弁明書の副本の送付を受けたときは、これに対する反論書を提出することができる。この場合において、審査庁が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取下げることができる。
2.審査請求の取下げは、書面でしなければならない。